スオミの森の陰から
フィンランドの湖畔に移住した(?)日本人家族の日常や現地事情を書いています。
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「二つの月」の謎
なんて大仰なタイトル(笑)。

25日の記事への suomestaさんのトラックバックで、東山魁夷の作品「二つの月」にはヘルシンキ説とルオヴェシ説があることを知った。

「二つの月」は大好きな作品のひとつなのだが、私の印象としてはあの景色はヘルシンキよりは風光明媚な森と湖の景色にあふれたルオヴェシなのである。だが本当はどちらだろう。どこかに決め手はないか。

そうだ、画伯がこの作品の製作前にフィンランドを旅したのは1962年6月だったはずだ。写実性豊かな画伯の絵であるから、月の様子から分かることがあるかもしれない。天文ソフトでこの時期のフィンランドの月の状態を調べてみることにした。

この月の満月は18日となっている。「二つの月」は右側が少しかけ始めた、満月を過ぎて3~4日の月と思われる。この時期の滞在先は?画伯の北欧への旅を綴った新潮文庫『白夜の旅』を取り出してみる。

フィンランドの章をめくると、ヴィラット滞在中に夏至祭の前夜祭に出会い、それは6月20日以後の最初の土曜日という記述がある。これは6月23日であろう。その後「詩人の道航路」でルオヴェシを通っている。ルオヴェシだとしたらこの時であろう。しかし船の運航は昼間、絵のように暗くならないし月の欠け方からいって太陽は地平線下のはずである。となると船に乗る前に滞在したヴィラットで写生されたものかもしれない。

天文ソフトでその頃の月を表示してみる。月の出は午前1時過ぎ、とはいっても白夜の時期で空は薄明るい。月が絵のような状態になるのは2時頃か。とすればヴィラットで前夜祭を遅くまで観覧した際に見えたものとも考えられる。

しかし、月の欠け方が絵と違うのである。以前「夏の月」で書いたように、夏のフィンランドでは満月に近い月は高く昇らない。そういう時は地平線に近い月の欠ける部分は、ちょうど写真にあるように真横になる。フィンランドで、絵のように斜め上が欠けるのは真冬しかない。画伯は美意識から月の欠け方を斜めに変えたのだろうか。それとも日本の月を当てはめたのだろうか。

さて、また『白夜の旅』を読んでみると、ヘルシンキ滞在中にこんな記述があった。

すでに真夜中近くであるのに、夕づく頃の明るさである。澄み切った風景が私の前にあった。鏡のような水面は、黒く連なる針葉樹の森を、そのままの姿で映している。…月が、空と水の上とに二つあった。冴えてはいるが、穏やかな光であった。

絵のとおりである。なんだ、やはりヘルシンキの月だったのではないか。しかし、となると日程としては満月前のはずだから左側が欠けていることになる。そして月がこの高さになるのはむしろ真夜中過ぎだ。となるとヘルシンキの月と断定もできないような気がしてくる。さて真相は? 結論は出ないがせっかくの芸術作品に対し無粋な分析で失礼しました~。

ところで「二つの月」を検索してみると、出てくる画像は本の口絵にあるものと湖の対岸の林の形が少々違う。この絵には2バージョンあるのだろうか?




テーマ:北欧 - ジャンル:海外情報

この記事に対するコメント

東山魁夷の北欧シリーズの絵にははっきりと「どこの場所」と決まっているものもあれば、本人の説明によれば「フィンランド+信州」の絵。「フィンランド+北海道」の絵なんかもあります。それらの絵でも雑誌のフィンランド特集等では単に「フィンランドの風景」として扱われたりもします。

検索すると確かに2種類ありますね。私は片方しか知りませんでした。片方はあくまでスケッチとか??
【2007/12/01 16:42】 URL | suomesta #A8v7laDo [ 編集]


モチーフは1か所とは限らないんですか、信州や北海道はフィンランドの景色と相性がいいかもしれませんね。ご教示ありがとうございました。
【2007/12/01 23:39】 URL | Sommoro #- [ 編集]


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