スオミの森の陰から
フィンランドの湖畔に移住した(?)日本人家族の日常や現地事情を書いています。
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『崖の上のポニョ』

201005ponyo.jpg

『崖の上のポニョ』のDVDを図書館から借りてきて見た。

映像はきれいだけれど,なんというか,ジブリのアニメはストーリーや世界観をあまり深く考えないで見た方がいいようになってしまった気がする。

さてこのDVDは北欧向けで,音声も字幕もフィンランド語,スウェーデン語,ノルウェー語,デンマーク語が選べる。音声には日本語もあるが日本語字幕はない。

言語を切り替えて見ると,なかなか面白い。

日本語オリジナルでは,ソースケは両親を「リサ」「コーイチ」と名前で呼ぶ。フィンランド語とスウェーデン語ではその通りで「リサ」は Lisa だが,ノルウェー語字幕では Risa,そして音声では mor だったか,「お母さん」にあたる言葉になっていた。デンマーク語では字幕・音声とも「お母さん」「お父さん」。

名前で呼ぶと実子でないという印象を与えるためだろうか。

「ソースケ」はどの字幕でも Sosuke だが,フィンランド語の音声ではこの綴りのとおりに読むので「ソスゥケ」といった感じでやや違和感がある。このDVDでは,日本語の「ソースケ」の発音に一番近いのはスウェーデン語版だと思う。

フィンランド語は日本語のように短母音・長母音の区別がはっきりしているため,綴りが Sosuke だと短母音でしか読めないようだ。日本語だと -su- の母音もほとんど消失しているのにフィンランド語で u をはっきり発音してしまい,これがまた日本語とだいぶ違う。Sooske という綴りだったらずっと近い発音になっていたかもしれない。

逆に,フィンランド語の長短の差が日本語に反映されていないと思うこともある。Suuntoは日本では「スント」,Iittalaは「イッタラ」だが,「スーント」「イーッタラ」の方が近いと思う。Aarikkaの「アーリッカ」ではちゃんと長母音になっているのに。

一方,東南部の「プンカハリュー」は本来 Punkaharju で,語尾は延ばしていない。「プンカハリュ」ではちょっと尻切れの感じがするからだろうか。まあ音節の切り方からいうと Pun-ka-har-ju なので「プンカハルユ」の方がいいんじゃないかと思うのだが。

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言葉の解釈
夕食の途中で,息子が唐突にこんな話を始めた。

「おとうさん,1本の木の幹が途中で折れて倒れているとして,」
「うん?」
Miltä korkeudelta puu on katkennut っていったら,どの位置のことだと思う?」

ちなみにこのフィンランド語は日本語訳するとしたら“どの高さから木は折れているか”ということだ。まあ訳した日本語で考えても正解にたどりつけるとはいえないのだが,参考までに。

息子がこれをどういうつもりで聞いているのか判らないが,とりあえず素直に考えて指で示しながら答えた。

「木の幹の,折れた位置の高さだろ。」
「そうか…」

あきらかにがっかりしている。さらに「お母さんは?」と妻に聞き,違う答えを引き出したいようだった。

それというのも息子の考えによると,聞いているのは折れる前の木のてっぺんの高さだというのだ。

それまで黙っていたのだが,実は先日の数学のテストが返ってきて,唯一間違えたのがこの問題だった。

200905matikka.gif

このところ数学では三平方の定理を勉強していて,これはその応用問題なのだ。息子は折れた点の高さを簡単に計算したのだが,斜辺の長さを足して折れる前の木の高さを回答にしてしまっていて,この間違いがくやしかったらしい。

私が思うには,Miltä korkeudelta puu on katkennut では倒れる前のてっぺんの高さとは解釈しにくい。息子のフィンランド語は現地の子供にひけをとらないくらいになっているとはいえ,まだこういうこともあるのかなと思ったが,さらに話を聞くと他にも同じ解釈をして答えた子がいたというので,フィンランド人でもそう解釈することもあるのかと,少しほっとした。


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Google翻訳でフィンランド語
Google翻訳でフィンランド語がサポートされたと聞き、ちょっと試してみた。

今回追加された10言語のうち4言語は北欧の言語で、フィンランド語、スウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語が一気に加わった。

私は普段Web翻訳を使っていないので何を試すべきかよく分からないが、手始めにヘルシンキの観光案内から http://www.helsinki.fi/fi/index/matkailu/helsinkikortillanaetenemman.html を訳してもらおう。これは3言語で書いてあるので比較もできる。

まずフィンランド語。

Yksi ja sama kortti toimii matkalippuna, pääsylippuna, alennuskuponkina ja lahjakorttina.

Helsinki-kortilla pääsee matkustamaan rajoituksetta kaikilla joukkoliikennevälineillä Helsingin alueella: metrossa, raitiovaunuissa, busseissa ja lähiliikenteen junissa. Lisäksi se oikeuttaa lautta- ja moottorivenematkoihin Suomenlinnaan ja Korkeasaareen.

Aikuisten kortin haltija pääsee ilman lisämaksua Helsinki Expertin Audio City Tour -kiertoajelulle.

訳出された日本語は、

1つのと同じ、とのカードの動作航空券、入場券、クーポン券やギフトオフです。

トラベルカードヘルシンキ無制限のアクセスをすべての公共交通機関では、ヘルシンキリージョン:地下鉄、トラム、バスや旅客列車です。また、フェリーと正当化moottorivenematkoihinスオメンリンナとヘルシンキ動物園です。

大人は、カード所有者のアクセスを支払わずに追加ヘルシンキの専門家のオーディオシティツアーのツアーです。

解るような解らないような…。単語は訳されているようだが、てにをはが何だかおかしい。次にスウェーデン語。

Kortet är både resbiljett, inträdesbiljett, rabattkort och presentkort i ett. Helsingforskortet berättigar till obegränsad rätt att använda kollektivtrafiken inom Helsingfors: metron, spårvagnar, bussar och lokaltåg.

Gratisresorna med färjan eller båten till Sveaborg och till Högholmen ingår också i kortet. Helsinki Experts Audio City Tour -sightseeing är gratis för vuxenkortinnehavaren.

resbiljettの両方のカードは、入場券、割引カードと1つの贈り物です。ヘルシンキカードは無制限の対象とする公共交通機関を使用する権利では、ヘルシンキ:地下鉄、トラム、バスやローカル電車です。

gratisresornaからフェリーやボートを島として動物園でも、カードの一部です。ヘルシンキの専門家のオーディオシティツアー-パリ滞在のアドバイスを無料でvuxenkortinnehavarenです。

合成語には弱いようで訳されないままになっている。次は英語。

The Helsinki Card is a transport ticket and entrance ticket all in one and has a number of great value reductions and bonuses attached.

Helsinki Card entitles you to unlimited free travel on public transport within Helsinki area: metro, trams, buses and local trains. It also includes free ferry or boat trips to Suomenlinna Sea Fortress and Helsinki Zoo in Korkeasaari. Helsinki Expert's Audio City Tour is free for Adult Card holders.

交通機関のヘルシンキカードは、すべてを1つの航空券と入場券とは、いくつかの大きな価値を下げ、ボーナスが添付されます。

無制限のヘルシンキカードを無料で旅をする権利が公共の交通機関にヘルシンキ事項:地下鉄、トラム、バスやローカル電車です。フェリーも含まれて無料または海のボートツアーをスオメンリンナ要塞とヘルシンキの動物園にkorkeasaariです。ヘルシンキの専門家のオーディオシティツアーは大人のカード保有者は無料です。

英語-日本語ならましかと思ったが、うーんどうだろう。

ところでフィンランド語には selkokieli といって、やさしめの単語と文法を使う書き方がある。それほどは広く使われていないが、新聞などもある。この selkokieli のサンプルhttp://www.verkkouutiset.com/arkisto/Arkisto_1997/7.helmikuu/ESIM.HTMを試してみよう。

Samana iltana Marja oli makuuhuoneessa,
kun puhelin soi.
Äkkiä hän tiesi, mitä se merkitsi.
Hän meni eteiseen ja nosti kuulokkeen.

- Kiitos ilmoituksesta, hän sanoi sitten.
- Ja kiitos hyvästä hoidosta.

その同じ夜になると、マルヤは、ベッドルーム、
ときに電話が鳴った。
突然、彼はどんな意味を知っていた。
彼は廊下やbroughtの前にヘッドセットを持つアクションです。

-いただきありがとうございますの通知、彼によるとしています。
-と、管理のおかげで良いです。

やはりかなり変になってしまった。おまけにbroughtなどという英単語が入っている。どうやら英語を介して翻訳されていて、英語訳されたときに入った英単語が日本語に訳されずに残ってしまったらしい。

実用性の点ではまだまだかもしれないが、まったく解らない言語については手がかりにはなりそうだ。


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旅は続く
今朝、通勤の途中で路上に何人もの警官が立っていたので、事故かそれとも取り締まりかと思ったら飲酒検問だった。

こんな朝っぱらからつかまる運転手もいるのかなと思ったが、そういえば5月1日のヴァップ(メーデー)が近い。年に2度、ヴァップと夏至祭の前夜は多くのフィンランド人が底なしに飲む日で飲酒運転も増えるから、事前に注意をうながしているのかもしれない。

ところで印象深かったのは、チェックが終わって警察官が言った言葉の "Matka jatkuu." だった。直訳すれば「旅は続く。」である。日本だったら「はい、行っていいです」とか「ではお気をつけて」とでも言うところだろうか。

まあフィンランド語の matka は大がかりな「旅、旅行」だけでなく、työmatka といえば「通勤」だし välimatka なら「距離」といった意味になる。それにしても主語が自分でも相手でもない Matka jatkuu. という表現のそっけなさ、簡潔さはなんだかフィンランド語らしいなあと思った。


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子音階程交代
息子の化学の試験の答案が返ってきた。

まあまあよくできていると思うが、中にこのような問題があった。

200711kemi13.gif


「H2, O2, N2 の意味を、図を描いて説明しなさい」という問題なのだが、それに対する解答「これらは水素、酸素、窒素からできた分子である」で、各元素の単語を vetystä → vedystä、hapista → hapesta、typistä → typestä と直されている。

息子は元素のフィンランド語名そのものを間違えていたわけではない。「から」を表す格変化の語尾を間違えたのだ。ちなみに molekyyliä(分子)の語尾も正しくは molekyylejä だと思うが、そこは直されていない。

フィンランド語は日本語の助詞のように名詞の語尾が文法的な格によって変化する。日本語の場合は名詞に助詞が付いてもそのまま連続するだけだが、フィンランド語の場合は音変化を伴うことが多い。「から」に当たる語尾は -sta または -stä なのだが、vety(水素)を「水素から」とするためにこの語尾を付けると vetystä ではなく子音階程交代という音韻法則が働いて t が d に変化し vedystä になる。happi の場合も p が1個になるような変化をし、さらに i が e に変化して hapesta になる、といった具合だ。

日本語でいえば、「一本、二本、三本」が「いちほん、にほん、さんほん」でなく「いっぽん、にほん、さんぼん」となるようなものか。

こういった語尾変化はかなり規則的ではあるが、その規則がとても複雑で、また本来のフィンランド語と外来語では変化の仕方が違ったりする。フィンランド語文法の難しさのひとつだ。

日本語の「いっぽん、にほん、さんぼん」が日本人にとって自然なものであるように、息子の場合、フィンランド語は現地で体で覚えたので、こういった語尾変化はほとんど意識しなくても自動的にできている。だからこのような、語尾変化の間違いを指摘されることはあまりない。

しかしそれも日常使う単語であればこそで、「水素、酸素、窒素」の変化形などは日常生活であまり使わないので自然には出てこなかったのだろう。これらの単語が外来語であるかのような語尾変化のしかたで書いてしまったのだった。

フィンランド語の語尾変化を複雑にする、この子音階程交代(Wikipediaの「フィンランド語」の項に説明あり)は、フィンランド語を習ったことのある人なら一度はぶつかる壁のひとつだと思う。もうひとつの音韻法則である母音調和は比較的簡単にマスターできるが、こちらはかなり長く学んでも結構間違えてしまうことが多い。間違えて喋ったところで分かってもらえることがほとんどだが、場合によっては大きく意味が違ってしまったりするし、子音階程交代が分からないと辞書を引けないことも多い。

子音階程交代はフィンランド語に限らず多くのウラル語に共通する性質でもある。しかもエストニア語やサーメ語ではフィンランド語より複雑だそうだ。以前、日本でのフィンランド語教室で、フィンランド語の他にはどんなウラル語を学習したいかという話になったときに、私が「母音調和があって子音階程交代がない言語」と言ったら、講師の先生からは即座に「それならハンガリー語」という答えが返ってきた。他にもハンガリー語は興味深い性質が多いので、いつか学んでみたいと思っている。ちなみにこの人こそ11月15日 で書いた『フィンランド語のしくみ』の著者である吉田欣吾先生なのである。


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2言語で数学と化学
通信教育での日本の教科の学習は、数学が図形、理科が物質・原子・分子という単元に入った。偶然なことにフィンランド現地校での数学も図形、化学が原子・分子に関する章が始まった。

日本の教科は中学2年、フィンランドでは7年生(中1相当)なので1学年ずれているのだが、これほど同じ分野というのも珍しい。たいていは以前に書いたように(昨年10月24日)てんでばらばらで困るのだが。

化学での元素記号や「原子」「元素」「分子」といった概念の導入も、とても似通っているのでかえって驚くくらいだ。

数学の図形では、意外と記憶しなければならない語彙が多い。「内角・外角」「垂直二等分線」「扇形」「同位角」など、外国語が結構得意な方でもその外国語で言えないことが多いのではないだろうか。図形問題は証明と結びついている。ただ答えを出すだけではなく、なぜそうなるか言えなくてはならないのはどちらの国の数学でも同じだ。だからこういった語彙を覚えないと問題に答えられない。

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フィンランドの数学の教科書の一部、円の部分の呼び名

ところで言語の影響がないように思える数学でも、ちょっとした違いもあって面白い。たとえばフィンランドの数学の教科書では、上の図のように扇形とともに円を直線で切った形が出てくるが、これに対応する日本語はないと思う。また日本語で「同位角」と「錯角」はフィンランド語ではどちらも同じ samankohtainen kulma という。これは言葉からすれば「同位角」である。

また言葉以外の慣習の違いもある。日本の数学では角を表すのに ∠A とか ∠ABC などと書くが、フィンランドの数学では角度のところにギリシャ文字 α, β, γ などが書いてあって「∠」という記号を使わずそのギリシャ文字で角度を表す。

他にもいろいろあって面白いのだが、長くなるばかりなのでこのくらいにしよう。

教科の内容が共通している分、楽をできるのではないかと思うが息子本人にとってはどうか分からない。ほぼ同じ意味の用語が出てくるが、両方いっぺんにやっているためか、ときどき日本語だけで言えたりフィンランド語だけで言えたりとちゃんぽんになっていることがある。一方を終わった頃他方が始まれば理想かもしれないが、そこまでうまくはいかない。


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K と G
息子の歴史のテストが返ってきたので見ていると、フランス革命に関する問題で処刑のされ方を書くところに、kiljotiinilla と書いて giljotiinilla と直されているのに気づいた。「ギロチンで」という意味であるが、最初の文字が違っている。

そこで息子に「フランス革命で使われた処刑道具は?」と日本語で聞くと、「ギロチン」という答えが返ってきた。「だったらテストでも K でなく G で書けばいいじゃん」と言ったら、「おぉ!」と今になって気づいたようだった。

以前も「ルター」について書いたが、フィンランド語で何か習ったときに日本語の知識に結びつけないのが不思議というか、2言語をネイティブに習得するとはそういうふうにもう一方の言語を気にしないものなのかなとも思う。

「先生が kiljotiini と言っているように聞こえるんだもん」とは息子の言い訳であるが、たしかにフィンランド語は元々 g の音がないので(ngの、鼻濁音のような音はある)、フィンランド人は特に語頭の g を k に近く発音することが多い。

借用語でもギターは kitara だし、グスタフという人名は Kustaa、ギリシャは Kreikka である。

英語での g と k の区別もあいまいになりやすく、guitar は "quitar"、guess は "quess" という綴りだと信じて疑わないフィンランド人は多い。逆に quarantine は "guarantine" だと思っていたりする。

昨日も、仕事の文書で "the cap between ..." と書いてあって何度読んでも意味が分からず悩んだあげく本人に聞いてみたら、"the gap between ..." のつもりで書いていたことが判明した。しかし本人には、こちらがなぜ悩んだのか分からないのだ。

ところでテスト問題に戻ると、ギロチンで処刑されたのは誰かを答える欄もあった。これは正解していて「Ludvig 16世」である。あれ、フランスにそんな王様いたか? ドイツ語っぽい名前だなあ…、いやフランス革命の王様なら歴史が苦手な私でも知ってるはずだが…そうか、ルイ16世のことか!


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読書
フィンランドは4日間のイースター休暇に入った。

まとまった休みがあると、こういう機会に読書でもしてほしいと親としては思うのだが、息子はあまり読書好きではない。小さいころから読み聞かせもしたが、読書にはどうも結びつかなかったようだ。ゲームとかインターネットとかは簡単に入り込むのに。

日本語力もフィンランド語力も同世代の子供ほどには達していないというのもひとつの理由かと思う。小学校低学年のころは『ズッコケ』シリーズ、『コロボックル』シリーズ、その後は岡田淳の本や『ホームズ』を少しずつ読んできた。科学マンガも何冊か買い、一度は読むのだがそれほどは興味を持たなかったようだ。他には工作、手品、特にでんじろう先生のような科学がからんだ手品が好きだし、アウトドア好きなのでそれに関した本もいくらか読んだ。近頃はいろんな人伝記と『ルパン』シリーズを少しずつ読んでいる。

こちらには日本語の本はほとんどないので、日本に行く機会に持ち帰る他は日本から取り寄せなくてはならない。以前は Amazonから実家に配送してもらい、それを転送してもらっていた。Amazonの海外発送はとても高いからだ。最近は、ビーケーワンから買うようになった。ここだと料金の安いSAL便などで海外発送してくれて、しかも日本の消費税がかからないのでありがたい。

しかしできればこちらの本も読んでほしい。フィンランドは地域の図書館、特に子供コーナーがとても充実している。その場所で読むのもいいし4週間冊数制限なしに借りてしかも数回延長ができる。私は旅行に行くときのロードマップなども図書館で借りることが多い。

が、やはり息子にはフィンランド語の本はまだちょっと難しいようで、ためしに『ルパン』のフィンランド語を読み始めたのだがすぐに放り出してしまった。日本語版と比べてみて気づいたのだが、日本語版は内容が分かりやすく書き直されているのに対し、フィンランド語版は原作に近いようだ。日本語版でも原作に忠実な訳書もあるのだろうけれど。

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『ルパン』フィンランド語版と日本語版

とはいえ低年齢向きの、やさしいフィンランド語の本は内容的につまらないのだと思う。今後どうなるか判らないが、まあできれば自分で本を手に取って、読めそうなものを見つけてほしいと思う。



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版画を知らない?
今までも当然知っていると思っていたことを息子が知らなくて驚いたことはたびたびあるが、これはちょっとショックだった。

1月7日に書いたように、わが家ではなるべく教科書を音読させているのだが、社会の教科書で江戸時代の文化についての記述を読んでいたときのこと、「浮世絵は版画としても売り出された」の「版画」を「ばんが」と読んでいた。

「それは『はんが』だよ」というと「はんが?」という息子の答え。「『はんが』だよ。木の板を彫って墨をつけて紙を押しつけて刷るやつ」と説明しても要領を得ない。まさか「はんが」を知らないのか? どうやら聞いたことのない言葉というわけでもないようだがすぐに「ああ、あれ」と解るものでもないらしい。その程度の認識でしかないとは。

そういえば、フィンランドの小学校の美術や技術の時間で木工はよくあるけれど(⇒12月11日など)、今まで行ったどの小学校でも版画を作ったというのは聞いたことがなかった。日本だったら文房具屋さんですぐ手に入る彫刻刀セットがこちらではなかなか見つからなくて苦労したこともある。

フィンランド語で「版画」を何というのか私も思いつかなかったので、和英辞書、英フィン辞書を使って調べたらどうやら puupiirros というらしい。それを息子に言っても聞き覚えがないようだった。

日本の小学校だったら、年に1度ずつくらいは図工の時間に版画をやっていたんじゃないかと思う。少なくとも私の世代は。子供は図工で版画を彫るのは当たり前と思い込んでしまっていたが、意外なところに違いがあるものだ。

他の国の小学校ではどうなのだろう。


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「はい」という返事
最近気になるのだが、息子に何かするように言ったときに「はい」とも何とも言わずに行動に取りかかることが多い。

言われたことが気に入らなくてそうしているわけではなく、ただ返事をせずに行動するようになっているようだ。

日本語の、返事をするときの「はい」にちょうど対応する言葉はフィンランド語にはなく、"Niin" とか "Joo" とか "Selvä" とか、いくつかニュアンスの違う言葉を場合に応じて使うが、無言で行動に移ってもそれほどおかしくはないことがフィンランドでは多い。

息子もそういう習慣を身に着けてしまったようだ。

対話をしているときでも、フィンランド人はこちらが話し終わるまでずっと無言で聞いていることが多い。日本人は頻繁に相槌をうってそれが相手の話を聞いているというサインになっているが、フィンランドでは黙って耳を傾けているのがそのサインになっているのだろう。欧米人一般にそういう傾向はあると思うが、フィンランドは特にそれが強いと思う。

フィンランド語は英語の "please" にちょうどあてはまる言葉がなくて、そのためフィンランド人は英語でもつい please なしで命令文を言い、英語話者にぶっきらぼうな印象を与えることがあるとはよく聞く話だ。そのほか店での受け答えなどにしても、言葉が少なくてぶっきらぼうに感じられることは多い。

しかしフィンランドではともかく、息子が日本に行ったり日本人の中にいるときは、「はい」という返事は重要だと思うので、やはり自然に声に出るように身につけさせなくてはと思う。どうやら日本に行っている間はできているようではあるのだが…。

ところで、フィンランド人が寡黙だとはいうものの、逆の状況になるときもある。たとえば商店やスーパーのレジなどで、係員もだがお客の方も挨拶するのがフィンランドでは普通だ。私もこれに慣れてしまって、たまに日本に行ったとき、レジ係りに挨拶せずにレジを通るとどうも居心地が悪くなってしまう。でも日本ではお客がレジ係りに挨拶したらちょっと変わった人、と思われるのではないだろうか。

こういった細かい習慣の違いというのはいろいろあって、複数の文化の中で自然にふるまうのは難しいものだと思う。


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語彙力と2言語習得
辞書について書いたついでに、息子自身の語彙の発達について書いておこうと思う。

息子は小学校2年で日本を離れたので、5年経った今、日本語の抽象的な語彙の発達の遅れが気になってきている。

たとえば教科書に出てきた「経済」という語の意味が分からなかったようなので、ちょっと驚き解説していたら「ああ、ケイザイのこと!」と気づいたようだった。耳から入る「ケイザイ」は聞き覚えがあるらしい。フィンランド語で Talous のことだと説明したら納得したようだったが、どうやら「ケイザイ」と「Talous」はばらばらに脳の中にあり、漢字で新しく入ってきた「経済」を結びつけるのは思うほど簡単ではないらしい。

また日本史の安土桃山時代でルターが出てきたとき、「ルターは去年のフィンランドの歴史の時間で習っただろ」と言ってもまるで思い出せないようでがっかりしたのだが、よくよく話してみると「ああ!Lutherのこと?」と思いっきりフィンランド語発音で言ってくれた。「ルター」と「Luther」はまったく別な発音として頭の中にあるようで、これらが同一人物で当たり前、と思ってしまうのは大人の勝手な発想なのかもしれない。

新しい言葉を覚えたとき、それがフィンランド語であれば日本語で何ていうのだろうとか、日本語であればフィンランド語で何だろうとかはあまり考えないらしい。その言語だけで理解するのは、育ちながらバイリンガルになっていく子供の利点でもあるのだろうけれども。

日常生活や友達との付き合いに関しては問題ないバイリンガルになってきているが、話し言葉ではあまり使わないような抽象的語彙はどうしても吸収が遅れるし、興味も持てないだろうから、聞いたことがあっても定着しにくい。

日本語の抽象的な言葉を説明するのにも、フィンランド語の対応する言葉を教えることが次第に多くなってきている。といってフィンランド語の語彙も、同年代の子供と同程度なわけではない。

大人としての、また学習や仕事に足りる言語表現の習得がどちらの言語でも不十分になってしまう、いわゆるセミリンガル状態になるのが一番心配なわけだが、まだ完全にどちらを主にするというところまでは決められないでいる。両方で相当程度まで習得してもらえればと思うのだけれども、欲張って両方で中途半端になっても困る。

息子の母語はいまだ日本語であることは間違いないと思うが、作業言語というか学習言語は、しだいにフィンランド語になりつつある気がする。


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DSと辞書たち
国語の学習に辞書は欠かせないが、近頃は紙の辞書よりニンテンドーDSをよく使うようになってきている。読み方が分からなくても手書き認識で漢字のまま入力できるので、なかなか便利だ。もちろんひらがなで入力して正しい漢字を知ることもできる。

200611ds.jpg

わが家のDS

この辞書ソフトは「漢字そのままDS楽引辞典」といい、夏の初めに日本に行ったとき私が買ってきた。本体も買おうとしたのだが品薄で入手できず、フィンランドに戻ってから128ユーロで買った。こちらで買った本体でも日本のソフトが正常に動作するからありがたい。

国語の課題で、よく何々という漢字を使って短文を作るというものがあるのだが、息子はこの辞書を利用して熟語を見つけることになる。すると普通あまり使わないような熟語がノートに並んだりする。「顕」の字なら「顕揚」とか、「践」の字なら「践祚」とか、「遷」の字なら「遷座」とか。息子にとってはどの熟語でも同様に知らない語なのだから差はないのだろうが、一般に使用する頻度も辞書で分かればいいのにと思う。もしかしたら世間では私が思うより使っている言葉なのかもしれないが…。

他の発見もある。例文の課題に「彼はクラスの中で紅一点だ」と書いたから、「紅一点」の意味をもう一度調べなおすように言ったのだが直しもせず何が悪いのか解っていない様子だった。なので一緒に辞書を引いたら「紅一点」には「多くの平凡なもののなかに一つだけすぐれたものが存在すること。またそのもの」という意味があり、しかもそれは「多くの男性の中に一人だけ女性がいること。またその女性」という意味より先に書かれていたのだ。この2番目の意味だけだと思っていた。国語は言葉を知っているとつい意味もちゃんと知っていると錯覚してしまうから恐ろしい。反省することしきり。

200611perus.jpg

パソコンのフィン語-フィン語辞書

一方、フィンランドの教科書に出てくる分からない言葉はさらに大変だ。主にパソコンのフィン語-フィン語の電子辞書で調べるが、場合によってはフィン和辞書や個人製作の辞書を見たり、フィン-英を引きさらにその英単語が分からなければ英和を引くということにもなる。フィンランド語は話者数500万ほどのマイナー言語だから、これさえあればといった決定的な辞書はなく、いろんな方法でなんとか意味を調べなければならない。フィンランド語に比べると、英語-日本語間は辞書もなにもかも充実しているのでうらやましい。

辞書に出ていない言葉が使われることも多いし、動植物の名前などは日本の学名が分かったところで何にもならないことも多い。そういう場合は検索エンジンで画像検索をすると「ああこれか」と思うものも見つかるのでありがたい。情報検索は大変に便利になったものだ。

フィン語-日本語の辞書がDSにでも載ればとても便利なのだけれど、まあ近い未来に実現するとは思えないので、当分この面倒な辞書引きは続くだろう。


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L と R
息子がノートに reirikoulu と書いている。正しくは leirikoulu、先日行った修学旅行(⇒10月12日の記事)の「キャンプ学校」のことだ。

フィンランド語はLとRを区別し、lauta(板)と rauta(鉄)のようにLかRかで全く意味が変わる。Rはいわゆるべらんめえ調の巻き舌、スペイン語やスウェーデン語のRに近い。ちなみに r と rr、l と ll も発音として区別する。私自身は一応LとRを別に発音するしはっきりした発音なら聞いて区別できるが、速いスピードの会話に出てきたら区別する自信はない。妻にいたってはLとRの区別はなく、つまり自分の頭のなかにはラ行音しかないと断言している。綴りの違いは単語で覚えているだけらしい。

息子は8才でフィンランド語を始めた(実はそれは2回目。経緯については⇒9月10日の記事)。よく聞くのは、6才以降ではネイティブのようにLとRを区別することはできなくなるという話だ。

だから息子はLとRの区別を習得できる年齢を、ちょっと過ぎていたかもしれない。

で最初に戻るが、件の単語を指して「これ、読んでごらん」と言ってみた。息子、「レ…(読めない)、あ、間違ってるね」と言って直した。書くとき間違ったり目で見て気づかなくても発音してみると判るらしいが、こういう感覚は私にはない。むしろ目で見た方が間違いに気づくのだが。してみると息子は音として区別しているのかもしれない。

息子は生まれてから4才までフィンランドに住んでいた。小さいころは家庭内で日本語だけだったが、外に出るようになってフィンランド語を覚え、一時期は日本語のラ行が全てフィンランド語のRになってしまった。日本語としてはかなり違和感のある発音だが、あまりいろいろ言うとかえってよくないかなと思って静観していた。そうこうするうちに日本に引越し、あっという間にフィンランド語を忘れると同時に日本語の発音も自然になった。フィンランドに戻ってきてからは日本語のラ行音に影響せずにLとRを習得したようだ。つまりこんな変遷をたどったことになる。

ラ行音のみ

LとR

ラ行音のみ

ラ行音とLとR

小さいときに習得したことは、2度目に始めたとき全く記憶に残っていなかった。どこか深層に残っていて習得しやすくなったのか、それもとゼロから始めるのと全く同じだったかは本人にもわれわれ親にも判らない。実際のところどうなのだろうか。


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プロフィール

Sommoro

Author:Sommoro
フィンランドに通算十数年住んでいます。家族は妻、高校生の息子、そして大型犬。

ショートカット
フィンランド三大誤解
東郷ビール フン族 サウナ
『欲ばり過ぎるニッポンの教育』
同感な点 変な点 教師の比較
学力関連
PISA 達成度 数学力 国語力
外国語教育
小学校英語 英語一辺倒 瑞語 選択肢 干渉
教科書見比べ
理科 数学 歴史
授業時間・日数
時間割 登校日数 1日多い
学級定員
長官提言 給与増の影響 動向 10年生 統計
校内問題
いじめ 暴力 護身術 警備員
進学問題
評価格差 選考基準 出願 合格点 進路問題
日本との違い
教育費 国旗国歌 採点 人種 解答欄 クラス移動

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